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清水 雄一; 河西 俊一
Chemical Communications, 0(11), p.1333 - 1334, 1996/06
窒素飽和下でDL-酒石酸水溶液にXeFレーザー(351nm)からの集光した右回りの円偏光(フルエンス:1.6J/cm・パルス、非集光の場合に比べてエネルギーは約150倍)を照射すると、L-酒石酸の濃度は照射と共に減少するが、一方D-酒石酸の濃度はほとんど減少しない。これに対し、左回りの円偏光を照射した場合には、D-酒石酸の濃度は照射と共に減少するが、一方L-酒石酸の濃度はほとんど減少しない。なお、L-およびD-酒石酸水溶液の照射についても同様な結果が得られた。このように、XeFレーザーからの高強度の円偏光を用いることによって、酒石酸の光学活性体を効率良く合成できることが明らかになった。さらに、円偏光の向きと合成される光学活性体との間には相互関係があり、高強度の円偏光照射によってエナンチオ区別反応が起こることがわかった。
清水 雄一; 河西 俊一
Chemical Communications, 0(7), p.819 - 820, 1996/04
窒素飽和したDL-酒石酸に高強度XeFレーザー(351nm)からの集光した右円偏光を照射すると、L-酒石酸の濃度は吸収エネルギーが増加するとともに著しく減少し、110Jの照射での減少率は約13.9%であった。一方、D-酒石酸の濃度は照射によってもほとんど変化しなかった。L-酒石酸濃度の減少から求めたD-酒石酸のエナンチオマー過剰率は約7.5%であった。このように、高強度の右円偏光レーザー光を用いると、DL-酒石酸からD-酒石酸を効率よく濃縮できることがわかった。このような反応が起こるのは、酒石酸の多光子吸収過程を経る脱カルボキシルなどの分解反応が偏光性に依存するためであると考えられる。